下田裕之さんが、勤めていたジュンク堂書店を退社したのは2018年2月。2016年に店長となった立川店が最後の店となった。大書店を辞めて自分の店を持とうと思ったのは、「自分で選択できる領域」を求めてのことだ。   「2010年代に書店員として働いていた間、考え続けていたのは、ネットが普及してきたことで、90年代的なメガストアにインフラとしてどんな役割があるのか、ということで […]

   2019年3月、東京都国分寺市に古本屋さんがオープンした。店名を早春書店という。店主の下田裕之さんはジュンク堂書店に10年勤めたのち、35歳で自分の店をもつことになった。これから始まるシリーズは、この下田さんの話だ。    下田さんが大学を卒業してジュンク堂書店に就職し、書店員になったのは2008年。   「正直なところ、学生時代に自分の将来のことをきちんと考え […]

  いま、徳永直良さんは、かなり頻繁にブックオフに通っている。買うのはもっぱら108円の文庫本だ。   「2016年2月に友朋堂が閉店して、7月から『ポリテクセンター茨城』に通うようになりました。その近くにブックオフが2軒あるんですね。平日ポリテクに行って、土日は休みで、その合間に履歴書を送ったり就職活動はするんですが、まあ比較的時間があるんです。それで行き始めて。当初は理工書 […]

   2016年、勤めていた友朋堂書店が閉店し、徳永直良さんは次の職を探し始める。 「ポリテクセンター茨城」という雇用支援をする施設で半年間、職業訓練を受けて、翌年、第二種電気工事士という資格をとった。「一般住宅・店舗など600ボルト以下で受電する設備工事に従事できる資格」で、コンセント工事などに必要になってくる。  なぜこの資格に目をつけたのか。   「2011年の東日本大震 […]

   今回の取材時、徳永直良さんに会う前に、わたしは友朋堂書店の吾妻店に立ち寄ってみた。つくば駅から、エキスポセンター内にある実物大モデルのH2ロケットを見ながら歩く。  区画整理された住宅地を抜けると、「本」というネオンサインのポールが立っている。すごく高いポールだ。平屋建ての店のガラスドアには「小さな手袋の忘れものをお預かりしています」とイラストを添えた紙が貼ってあり(2月だった)、 […]

   徳永直良さんが生まれ育ったのは、愛媛県周桑郡小松町。現在の西条市だ。  実家周辺の地図を、自ら持参した小さなノートに書きながら説明してくれる。   「最寄りは予讃線の伊予小松駅で、高松と松山をつなぐ国道11号線がこう走っていて、妙之谷川が南北に流れてます。南のほうには四国でいちばん高い石鎚山があって、ここには四国八十八箇所札所の横峰寺があります」    ボールペ […]

   茨城県つくば市に、友朋堂書店という本屋さんがある。  1981年に吾妻店がオープンすると、当時、学園都市として街づくりが進みつつあったこともあって、1日で数百万を売り上げることもあるほど人がおしかけ本が売れた。棚に本を補充するのが追いつかないほどだったという。筑波研究学園都市として国の機関や研究施設、民間企業の研究所が移転してくれば、住む人も増えていく。80〜90年代には、大小の本 […]

   蔵書家であり、書店員でもある海東さんでも、本を読むことから遠ざかった時期があった。   「自分が仕事にのめり込んでいるとき、『本を読む』より、『本をすすめる』ほうが楽しい時期がありました。ほんとうは両立しなくちゃいけないことだし、今なら読んでいない本をすすめてどうするんだと思うんですが。書店員をやっていると、目次やカバー、帯を見て、ぱらぱらとページをめくると中身がだいたい […]

     海東さんはいま、歴史時代小説を多く読んでいる。   「とくに江戸時代が好きです。人びとが遊びを工夫していて、いろいろな文化が生まれた豊かな時代だったと思います。  吉川弘文館から出ている『日本随筆大成』という全集があるんですね。江戸時代のさまざまな身分の人が書いた随筆を集めたものです。古本でしか手に入らないんですけど、昭和54年に完結している版が案外安く見つ […]

     人と人とのつながりで本が売れていた80年代を過ぎ90年代に入っても、売上げが目に見えて落ちるということはなかった。書店にとって福井はありがたい県なんです、と海東さんは話す。   「小・中・高校では、朝礼の前に15分〜30分、本を読む時間があるんです。『朝の読書』(あさどく)といって、基本的には何の本を読んでもいいんですが、課題図書もあって書店で売られていたり […]